無駄に広すぎる庭の真ん中には、大きな噴水。
家の玄関となる入り口までの長い距離。
正直、歩くのに疲れる……
入り口の外には数名の警備、扉を開けて中に入ると
「 おかえりなさいませ。 」
数十名のメイドが迎える。
" ただいま "と言おうとした時、奥の部屋から母親とその秘書が出てきた。
「 …お母さん… 」
「 …綺帆、おかえりなさい。2日間会議で今からフランスに行くわ。終わったらすぐに戻るから。 」
秘書があたしに一礼をして、母は足早にその場から立ち去る。
あたしが深夜に帰ってこようと、朝帰りしようと何も言わないし怒りもしない。
これがあたしの母だ。


