Rain Days

つい数ヶ月前まで通っていた学校。

それなのに、懐かしく感じてしまうのが切ない。

3年の教室に入り、孝則が1つの机の中を覗き込む。


「あった、あった」


そう、机の中から取り出した1冊の教材。


「忘れてったの?」

「みたいだ。内心、無くて焦ってたんだよ。これ出さなきゃ、また居残りさせられるとこだったぜ」

「無きゃよかったのに」


孝則のことを、茶化す雪乃。

彼らは今も、ここで過ごしている。

その中に自分だけが居ない。

それが、やっぱり寂しく思ってしまう。


「高3の夏が、1番早く感じるな」


遠くを見ながら、独り言のように卓麻が呟く。

年を重ねる毎に、時の流れも早くなる。

誰かが、そんなことを言っていた。