彼らのせいで、全く気付かなかった。


「竜也(たつや)寝過ぎだよ」

「俺より、アイツの方が寝てる」

「碧斗(あおと)はいつものことじゃん」


理沙と竜也の会話に、耳を疑った。


「俺がどうしたって」


近くのソファで寝ていた男が起き上がり、こちらを見る。


「お前はいつも寝てるって話だ」

「寝る以外、することねぇからな」


竜也と話す、碧斗の姿から目が離せなくなった。


『あおちゃん』


そう、あたしのことを呼んでいた幼い彼と同じ名前の彼。

ただ、名前が同じだけだ。

頭が勝手に、彼と目の前の男を引き離そうとしていた。

違う、絶対に違う。