Rain Days

あたしは傘を握る男の手を掴み、男に傘を差す。


「濡れますよ」

「君こそ、ずぶ濡れだよ」


男は傘をあたしに預け、着ていた制服の上着を脱ぐと、あたしの肩に着せた。


「学校で返してくれたら良いから」


ニコッと男は笑うと、傘と上着を残し、走って行ってしまった。

黒のタンクトップに制服のズボンと、とても寒そうな格好。

学校で返してって、あの人はどこの誰なの?

わかるのは、男があたしと同じ学校だと言う事だけ。

・・・変な人。

いきなり現れた男のせいで、いつの間にか涙も止まっていた。

男から借りた傘と上着を有り難く使い、あたしも家へと帰った。

お母さんはずぶ濡れのあたしを見ると、足早にタオルを持ってきて、お風呂の準備をしてくれた。