どれくらい、歩いただろう?

慣れたように、あおはマンションの中へと足を踏み入れた。

そしてエレベーターに乗り込み、7階のボタンを押す。

チンッと言う音と共に止まったエレベーターから降り、一番奥の部屋へと進む。

部屋の鍵を開け、室内へと入る。

繋がれていた手は玄関で離され、あおは中へ入って行った。

あたしは玄関から動けず、その場に立ち尽くす。

そんなあたしの頭に、あおはタオルを被せた。


「拭けば」


それだけ言うと、あおはまた中へ戻って行く。

あたしはあおの言葉に甘え、雨や涙で濡れた顔や体を拭く。

拭き終わり、これからどうすれば良いか考える。

このまま何も言わずに、立ち去ってしまおうか?