「何も、感じないの?」


あたしの言葉に、あおの瞳が揺れた。

降りしきる雨の中、傘も差さず、あたし達は立ち竦む。

あたしの質問に、あおは答えてくれない。

交わる視線を先に逸らしたのは、あおの方だった。

乾いたような笑みを零し、こちらへ歩みを進め、あたしの腕を掴む。

そして腕を引き、何も言わずに歩き始めた。

別に、強い力で掴まれたわけじゃない。

振り払おうと思えば、出来るような力。

だけど、どうしても振り払う事が出来ない。

気付けば自然と、涙が頬に流れる。

でも、雨のおかげで一緒に消えて行く。

雨なのか?涙なのか?きっとあたし以外、わからないだろう。