Rain Days

「あいつら、攫われたと勘違いするだろ」


理沙は可愛らしく、苦笑いを零す。


「碧斗、弘文」


理沙の変わりに、ヒデが彼らに声を掛ける、

そしてこちらに気付いた2人は、安心したようにこちらに歩みを進める。

段々と近づく、彼らとの距離。

あたしは俯き、碧斗と視線を合わせないようにする。


「理沙、突然居なくなるな。何かあったら、どうすんだよ」


何があるんだよ。

弘文の言葉に、呆れる。


「ごめん。今度から、気をつけるから」

「あぁ」


まだ不服そうな声で、弘文は返事を返す。

そして、なぜかみんな無言になる。

今すぐこの場を立ち去れたら、どんなにいいだろう。

でも、簡単に立ち去れるような空気じゃない。