Rain Days

「どっか行ってたの?」


駅をチラッと見て、尋ねられる。


「地元に行ってた」

「楽しかった?」

「楽しかったよ」

「そっか」


さっきまでと、少しだけヒデの声色が変わった。

あたしはヒデの元へと、歩みを進める。


「大丈夫?」


あたしの言葉に、ヒデは力なく笑みを零す。

あたしは持っていた荷物から手を離し、自分より大きいヒデのことを抱き締める。


「大胆だね、あおいは」

「そうやって、無理して誤魔化さなくて良いよ。あたしの前でまで、嘘の仮面付けないで」

「ホント、あおいには敵わない」


ヒデはあたしの肩に顔を埋め、背中に腕を回す。

でも、その腕はとても弱々しかった。