「慎治さんとのことは辛かったと思う。忘れたい気持ちも……分かるよ」 「……」 「でも、慎治さんのことを思ってた柚の気持ちまで、無駄だったとは思わない」 慎治さんを思ってた……あたしの気持ち? 「思い出してみてよ」 あの頃は毎日が楽しくて、慎治さんのこと知りたくていっぱい質問して、あたしのこと知ってほしくていっぱい話して……。 慎治さんは顔に似合わず甘いコーヒーが好きだってこと知って、それ以来砂糖を一本多めに持っていって喜ばれたっけ……。 クス あの顔で甘いもの好きだなんて……