虚空を眺めて

「―――あなた、月彦もあずきも・・・本当あなたに似て、“納豆が嫌い”よ」

静子は一人の男性の写った写真を見つめて言う。
その男性こそ、彼女がもっとも愛した男であり、彼女をもっとも愛してくれた男でもある。

「・・・本当、元気に育ってくれた・・・」

彼女は写真を抱きしめ、呟いた。
・・・月彦の父でもあり、あずきの父でもあり、そして静子の夫でもある彼の名前を、『天倉宗二』と言った。

彼は―――数年前に亡くなった。