虚空を眺めて

「あ、母さん。昨日の晩飯残ってる?」

月彦は昨日寝てしまって、食べそびれたご飯のことを思い出した。

「・・・あぁ、冷蔵庫の中のね。好き嫌いの多い月彦には食べさせてあげません!」

静子はそう言って、ぷい、と顔を背けてしまった。
それでも、大人か・・・アンタは・・・。

「悪かったよ・・・母さん。俺達好き嫌いなくすからさ」
「うん! お兄ちゃんと一緒にがんばるからっ!」

二人でそう言うと、静子はぱっと顔を明るくして。

「わかったわ。ちょっと待っていなさい!」

うれしそうに、台所へと向かい。
何かを持ってきた。

「はいっ!」

・・・うまく行くはずがなかった。
彼女の手には、冷凍パックの納豆が置かれていた。

「ごめん。母さん、なんか腹がいっぱいだ・・・」
「私も・・・」

二人はそう言って、一目散にその場から走った。
静子が何か言っていたようだが、聞こえなかった。