手を振り返してから、前を向く。
真剣な表情をした蒼汰と目が合って、息がつまりそうになった。
「ねえ、」
「.............」
「なんか忘れてない?」
「.............っ、」
じっと見つめ合っていると、蒼汰はそう口にした。
そのなんか、がわかってしまった私は思わず目を見開いた。
それと同時に、じわじわと視界がぼやける。
「.............っ、」
俯いてボロボロ涙を零す私に、蒼汰ははぁ〜〜っ、とため息をついた。
「っ、」
ついに愛想を尽かされたんだと悟った。
どうしよう、蒼汰が離れちゃう。
私が、想いを伝えなかったからだ。
想ってることを伝えない人から、離れていくのは当然だと思う。
それなのに、こんなに悲しくって苦しくって。
蒼汰が、離れていくのが嫌だと思う私は最低だ。

