そっと、腕にある傷跡に触れた。



それは、私が臆病なせいで出来た傷。


蒼汰が、守ってくれなかったらもっと酷いことになっていたと思う。


酷いことをするだけでなくて、迷惑もかけている。



私はどこまで、ダメな奴なんだろう。




「.............」



本当にそろそろ、戻らないといけなくなってきた。



なんとか、涙を引っ込める。


もう、愛想を尽かされてるかも知れない。

もう、嫌われてるかも知れない。



戻ったら、別れを告げられるかも知れない。



きちんと、自分の気持ちを伝えてくれる蒼汰に酷いことをしたから。



覚悟したはずなのに、そう考えるとまたじわじわと視界がぼやけた。


それをグッと拭って、トイレをでる。



トイレのある車両から蒼汰のいる車両への扉を開けると何やら他の人と話している蒼汰が見えた。