勉強を終えた私はスクバと疲労で重い自分の体重を支えながら靴箱に向かう。



職員室の前にある鏡の横を通りすがる時、私は鏡の中の自分を見つめた。




肩にさらりとおちる髪


膝上のスカートからみえるすらっとした脚


ぱっちりとした綺麗な瞳




自分でもそう悪くないと思う。
というかむしろこの容姿に私は満足している。



(容姿だけじゃうまくいかないもんなんだよね、これが。)




また、ため息をつこうとした時だった。





「さっきからお前、鏡の中の自分見てなにしてんの?笑
まさか、みとれてた?」




え?




そんな言葉に動揺しながら私はその声のする方を振り返った。




「ふーん、まぁまぁかわいーじゃん。」




そこに立っていたのは背の高いすらっとした男の子。


整った顔立ちに思わず見いってしまっていた私はハッと我にかえる。




(いやいやいやちょっと待って、
さっきからこいつ、なんなの!?
めっちゃ生意気なんですけど?)




「は!?みとれてないし!
ってか誰?うちの学年…じゃないよね?」




「は、お前、まさか俺のこと知らねぇの?」




怪訝そうな顔をしてそのイケメンくんはこちらを見る。


そんな顔もかっこよくて、めまいがした。



「ま、まさかってあんた、そんなに有名なの?
知らないに決まってるでしょ!」



「はぁ…」



な、なんでため息!?



「ほんと、俺のこと知らないとかさすがモテない女だな。

俺の名前は戸井一翔。1年2組の学校一のモテ男だよ。」




…は?
私がモテない女?
学校一とかそれ自分で言う?
しかも…年下でしょ?




ありえない。




1年の男子ってこんなに馬鹿なのか。


ほんとなにいってんだこいつ。




「…あーそうですか。
私、君に用がある訳じゃないので帰るね」




私は無愛想に返事してその場を立ち去ろうとした。