「幼馴染」。

だけど春哉は何も言わない。
だんだんと、あたしの手首をつかむ力が弱くなっていく。
あたしはその隙に、さっと手を引き抜いた。
「じゃ……」
そう言って、あたしは走って公園の出口に向かった。
「沙絵!」
すぐに、春哉の声が後ろから追いかけてきた。
バシャバシャと、春哉が水たまりを蹴散らしながら走ってくる音がする。
あたしは全速力で走った。
だけど……スポーツ万能な春哉にかなうはずがない。
あたしはまた春哉に腕をつかまれた。
抵抗しようとしたとき、ふいにぬかるんだ地面に足を取られてバラン スを崩した。
そのままあたしの体は地面に叩きつけられる……
と思った、次の瞬間。


あたしは背中から春哉に受け止められていた。