「幼馴染」。

「おい、待てよ!」

 春哉があたしの手首をつかんだ。
 必死に抜け出そうとするけど、春哉の力が強くて逃げられない。
「沙絵……なんでだよ……なんで逃げようとするんだよ?」
「だって……春哉はあたしなんかに構ってる場合じゃないでしょ⁉」
「はぁ?」

 あたしは春哉の腕を強引に振り払った。
 そして春哉の目を見て言った。

「あたしなんかより、大切な子がいるでしょ……?あたしなんかどうでもいいはずでしょ?早く行けばいいじゃない!」