「幼馴染」。

 どのくらい時間がたったのだろう。
 頬に冷たい雫が当たって、顔を上げた。
 暗い空から雨粒が落ちてくる。
 それと同時に、あたしの目からも涙がこぼれる。
 もう……やだ…………。
 今までずっと、あたしが春哉に一番近い女子だった。

 ”幼馴染”だから。

 昨日まではそれでよかった。

 近くにいられるから。

 近くにいられるなら、彼女じゃなくたって、”幼馴染”だってよかった。

 だけど、彼女ができた今は……
 あたしなんかより、実咲の方が近いんだ。