「幼馴染」。

 授業が終わった途端、実咲はカバンをつかんで教室を飛び出して行った。
 その後ろをぞろぞろと続く男子たち。
 先頭は……春哉。
 正門で待ち合わせ、とか、しちゃってるのかな。
 やだな。
 そんなとこ、見たくないよ。
 こんな日は……まっすぐ家には帰らない。
 いつもよりわざと遅く教室を出たあたしは、迷わず家とは違う方向へと歩き出した。
 向かった先は、通ってた小学校の近くにある公園。
 あたしは昔から、何かあるとこの公園に来ていた。
 仲良しの友達が転校したあの日も。
 お姉ちゃんと大喧嘩したあの日も。
 いつでも、ここに来た。

 あたしは公園のベンチに座り、走り回る子供たちをぼんやり眺めていた。