「幼馴染」。

 午後のどんよりとした曇り空の下、5限は体育だった。
 誰よりも颯爽とハードルを飛び越えていくのは、実咲。
 そしてその横で、誰よりも颯爽とコートを駆け抜けるのは春哉。
「あの2人って、いつもすごいよねー」
「ある意味、お似合いじゃない?」
 そう。
 黒く、重く空を覆っている雲を吹き飛ばしてしまいそうなほど、どんなスポーツでも爽やかに軽々とやってのける実咲と春哉。
 本当に、お似合い。
 だから諦めた、はずなのに。

 ……涙がこぼれそうになり、慌てて上を向いた。
 見上げた空に、太陽は見えそうになかった。