「で、11時にさ。未子ちゃんとこの最寄り駅で待ち合わせでいい?」
「駅わかんの」
「引っ越してなかったらわかるけど、引っ越してない?」
肯定の返事をすると、じゃあ日曜日!とだけ言って一方的に電話を切られた。しつこく連絡をしてくると思えば次はあっさり切っちゃうし。なんなんだこいつは。進学校だし忙しいのかな。
まぁわたしからしたらその方が都合がいいしいいか。と自己完結していると、電話を切ったことに気づいたみたいで紗理奈が弁当を頬張る手を止めていた。
「あんたホント口悪いねぇ……」
「こんなやつに優しくする義理ないでしょ」
真子の件を考えると少しかわいそうな気もするけど、それはわたしだって同じだ。1度だって真子のことを忘れたことはないし、今だって夜になると思い出して泣けてくる日だってある。
人に言っといてタラタラしてんのはわたしの方なのかもしれないけれど。
「まぁ顔はイケメンなんでしょ、その人」
成績優秀、顔も整っている。なんでそんな人がわたしにかまってきたのか。デートを誘ってきたのか。普通に考えたら理解出来ないし、なんなら少し嬉しいかもしれない。
けどその理由なんてわたしの中ではっきりとわかっているし理解もしている。だって、それは馬鹿らしいくらいにはっきりとしているからだ。
わたしが真子と顔がソックリな双子の妹だから。
その真子に、彼は未練がタラタラだから。
ただ、それだけしかないでしょ。
