「ナンデスカ……」
ケータイを肩と耳の間に挟んで、お昼ご飯のメロンパンの袋をビリっと破った。そしてそのまま頬張る。
ちょうど紗理奈がきて、わたしが電話をしていることに気づいたみたいで手でひらひらと合図だけして隣の席に座った。
小声でにやりと笑って西岡くん?と聞いてくるので、こくりと頷いた。
「なんで返事くれねーの?」
朝きいた、少し低くて男らしいけどふざけた声だ。
「わたし、あんたと違って暇じゃないし」
そう冷たく言い放つと、電話越しからくつくつと笑い声が聞こえた。
なんだ。わたしのが馬鹿なのに暇じゃないとか言うから馬鹿にしてんのか。
「真子と違ってさ、未子ちゃんって結構毒吐くよな」
“真子”という言葉に反応して眉毛がぴくりと動いてしまうのが自分でもわかった。
気遣いというものがないのかと思うけど、よく考えたら彼も同じような立場なんだよな。
「あんたさぁ、真子真子うるさいんだけど。未練タラタラ男かよ。で、なんの用?」
早口でまた毒を吐くわたしに、横の沙里奈も少し苦笑いだった。
「ごめんごめん、日曜日どうするか聞こうと思って」
否定はしないのかよ。
普通未練タラタラなんて言われて、むかつくだろ。わざと挑発するようにというか、仕返しで言ったつもりだったのにそこだけ綺麗にスルーされてしまった。
