彼は真ん丸にした目を更に丸くして、何か言いたげな表情をした。
かと思うと、頭をぐしゃぐしゃとかき出して眉毛を下げて言った。
「ごめん、……もしかして未子ちゃん?」
真子と間違えられることはもうお決まりで、なれっ子だった。
だけどここ数年わたしは真子と間違えられる度に胸が締め付けられた。それは、間違えた彼もそうだと思う。
なぜなら、真子はもうこの世にいないからだ。
中学二年の冬のこと。
部活の帰り道真子は、大雪でスリップした車にはねられて亡くなった。
涙が枯れるくらい泣いた。
だけど真子のお葬式、私より泣いている人物がいたのがものすごく印象的だった。
それが当時真子の彼氏だったこの男だ。
「そうです、颯汰くん、だよね」
あの葬式、真子のこと、思い出して胸がずきずきと痛んだ。
