『どうして未子ちゃんはできないの?』

『真子ちゃんはなんでもできるのにね……』

『双子なのに全然違うよね』



ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる。暗闇の中で頭を抱えてしゃがんでいる。時折、嗚咽をもらしながら。誰かがわたしを囲んで話をしている。聞こえないふりをした。耳を塞いで、現実から逃げた。努力する事を諦めて、何かをすることもやめた。


『顔は同じなのに、真子ちゃんに才能全部吸い取られたんじゃない?』

『何もできねーし口もわりいし、お前いいとこねーなぁ』























目が覚めると、寒気がした。寝ている間に汗をかいていたみたいで、Tシャツはびしょびしょだった。そのせいで寒いんだろう。またあの夢をみた。時々、昔の夢を観る。今となっては過去の記憶でありあの頃のわたしとは違う。ひどく落ち込んだ時もあったけど、少しずつ人と接することも覚えたし最低限人と関わるのに問題はないと思う。それでもまだまだ足りないだろうけど、紗理奈だけはわかってくれているし。

真子の事だって、正直一時期はひどく嫉妬した。だけど真子は1度だってわたしを馬鹿にしなかったし、勝手に評価するのは周りだけだった。真子はわたしにとって、今でも大切で大切で自慢の姉だ。それだけだ。


時計を見ればまだ4時だった。とりあえず冷えてしまったこの体じゃ眠れないし、Tシャツを着替えてもう一度布団に潜り込んだ。