その後の映画の内容は全く頭に入らなかった。結局主人公と相手の男の子のふたりは結ばれたんだっけなんだっけ。というかこれどういう映画だっけ。彼のせいで頭がぐるぐるぐるぐるしてる。全然覚えてないんだけど。

映画のエンドロールもおわり、徐々に電気もついて場内が明るくなった。とりあえず無言で食べ終わったジュースとポテトのゴミを持って出口へ向かう。ポテトのゴミを見たらさっきの出来事を思い出してむかついたから彼の白いスニーカーを踏んでみたら痛!とか言いながらなんか怒ってるけど気にしない。お前が悪い。



「なんで怒ってんの?」

映画館に併設されているテラス。とりあえず落ち着かないしコーヒーを買った。ミルクとシロップをたっぷり入れる。お子ちゃまだと思われるかもしれないけどわたしにはこれがないと飲めないのだ。


「わからないとかあんた馬鹿なの?」


ごめんごめん、とか謝罪の言葉を述べつつも口元は緩んでいる。

「まじで映画の途中だから我慢したけど殴るかどつくか嬲るかめちゃくちゃ迷ったわ」

「それ全部同じじゃねーか」


ちょっと違うから!って言いたいけどなんかもうめんどくさいこいつと会話するの。話通じなさそうだし。