赤くなった顔、暗いからばれないといいけど。
悶々としていると、気づいたら彼の顔がだんだん近づいてきていた。
え、ちょっと何こいつ……もしかして……
次は何をする気なのかと安易に想像出来た。でも何故か抵抗したいのに体は動かなくて。恥ずかしいけどこの性格のせいか男の子にあまり耐性がないわたしは緊張のあまり体が動かない。
どうしたらいいのかわからなくて、目をぎゅっと瞑るしかなかった。
すると彼の顔はわたしの正面にくることはなく、耳の方によせた。彼の息がわたしの耳にかかる。
熱くて、くすぐったい。
「期待した?」
それは、映画館内の音にかき消されそうなほど小さな声で。だけど甘くて、低い声で。
ドキドキしたが、それ以上にキスされなくてよかった。と、安堵した。
だけど、やられた。
こいつは本当わたしが抵抗できないからってどんだけおちょくる気よ。
それにドキドキしてしまっている自分にもむかつく。
