高校1年生になったばかりの4月。


まだ見慣れない朝の満員電車。
ぎゅうぎゅうとすし詰め状態の車内に、おもわず眉間にシワが寄る。

まだ数回しか腕を通していないカタいブレザーは、蒸れてわたしの体温を上昇さていた。


浜屋未子(はまやみこ)、15歳。
小さい頃から伸ばし続けた長い髪は、腰まで達している。




朝が弱いわたしが朝早く起きて毎日この満員電車に乗るなんて、正直始まったばかりの高校生活に嫌気すら感じている。



プシューーーー

ぼーっとしていると電車の扉が開き、自分が降りるであろう駅についたことに気づいた。


この、人多いからって押すなよ!
この駅は降りる人が多くて、みんな我先にと降りていくので後ろの人に押されながら流れに従って電車を降りた。



せっかくいつもより2本早い電車に乗ったのにいつもより混んでいるんじゃ意味がない。
明日からまた普通の電車に乗ろう。


30分揺られ立ちっぱなしで疲れた脚を無理やり動かして、ホームへと上がる階段へ向かっていた。




「なー!ちょっと、君」