私と彼との出逢いは赤ちゃんの時だった。幼馴染で家も近くで年頃になるとそのまま恋人同士になったと言いたいが、実はそうではない。

物語の様に幼い頃、淡い初恋を幼馴染としてラブラブな末、めでたく恋人同士になりましたと、言いたいが

そんなドキドキやら甘酸っぱいやらの想いは本当に微塵も感じなかった


特に仲が良かった訳でもなく、毎日一緒に居たわけでもない。ただ、家が隣同士だと言うだけの関係だった

だから、引っ越しが決まった時も寂しさなんて感じなかったし、じゃバイバイと呆気なく新しい土地へ越していった。



新しい土地に慣れ、幼馴染の事など忘れて何年か過ぎ、事態は急展開した


少し大人になった私は中学生になっていた。当時の友達と手紙のやり取りを欠かさなかった私は当時住んでた所へ遊びに行く事になった



久し振りに会おうと言われ、引っ越し前の街へ片道二時間掛けて向かった


私は受かれてた。数年ぶりの親友に会えると思うと懐かしさにワクワクと胸が踊った


数年ぶりの街はたいして変わってなかった。


変わったのは私達だった


子供から少女へ成長し、何だか少しだけ気後れしたのが記憶に新しい


しかし、昔の感覚を思い出すのも早くて、久し振りに会った親友と直ぐに打ち解けた私は近状報告とそれまでの事を笑いながら語りだした



幼い頃は男の子の様に短かった髪をロングにして凄く女っぽく成長した親友は違う子に見え、私は自分が子供っぽく思えた


代わり映えしない地味な顔立とシンプルな装いに少しだけお洒落したら良かったと落ち込む私に気付かず親友は笑う


「実はねと彼氏が出来たんだ」と照れた様に呟き、教えてくれて驚愕する私



中三で、同じ高校に行くんだとキラキラした瞳で報告して来て、少しだけ羨ましかった


親友の彼は私も知ってる奴だった


本当は手を叩いておめでとうと言いたかったのに、彼氏の名前を聞いた瞬間、簡単に喜べなかった

当時、ガキ大将で親友と喧嘩ばかりしてた男の子だった


当時、苦手意識を持ってた私は必要以上に話した事は無かった


何かと因縁を付けて来てて転校する寸前まで嫌がらせをされた記憶が残ってた私は引き釣った笑みを浮かべて「喧嘩ばかりしてたよね?何処が良かったの?」と、ハッキリと聞いてやった


親友...直美はケラケラ笑いながら話し出した


「そっかそっか、そりゃそうなるか~‼当時大っ嫌いだって言ってたもんなぁ...」と...


そうだろ、そうだろと、頷く私に「うーん」と唸りながら溜め息を吐き出し直美は爆弾を投下した

「実はアレって嘘なんだ」と...


直美が言うには

「本当は好きだった」事

「ユイに引っ付いてたら話せるって思ってた」事

「好きだったけど素直になれなかった」事

そして、今日一番の爆弾を投下した


「もう時効だから言うけどさ、太陽ね...そのーユイが初恋だったんだよね」と...


「は?」目が点になり聞き返した私に直美は少し不貞腐れた様に呟いた


「だからアイツ、ユイが好きだったんだって‼私、気付いてたけど悔しくて...ユイがすっごく羨ましくてさ、当時、アイツ...コホン、太陽が何時もユイにちょっかい掛けててさ...毎日イライラしぱなしだったんだ。助けるフリして凄く妬んでた。だから転校するって聞いて喜んだのと同時に自分の事を凄く嫌になったんだよね」


私、嫌な奴でしょ?最悪だったんだと眉を下げた直美

「少しも気付かなかった」と、ポカンと口を半開きする私に「だろうね」と直美は笑った


「だってさ、まさか自分に毎日の様に嫌がらせする奴がまさかもまさか、好きだなんてわかるはず無いし、それ以前にユイは鈍いしね」


鈍いと言われ何とも言えない微妙な顔をしてる私に直美は「かと言ってユイもアイツも嫌いになれないし、もぉ毎日モヤモヤ‼のイライラだったんだから!」と鼻を脹らませた


「だからもぉ超スッキリしたー」と言ってジュースをゴクゴク飲み干す直美


駅まで迎えに来てくれた直美と連れだって直美の家にやって来た私だったが、当時の事を思い出しては顔を歪める私に直美はまたもや爆弾を投下した



「今から太陽来る」と