「……」



愈々だ。

遂に…きた。



今、客との行為を終得たところ。
私は寝ている客の服を取って袖に腕を通し、髪を一つに縛りまとめる。





客の持っていた金を根こそぎ取り、行為の金を渡した。




「へい。頂きやしたぜ。」




声でバレると不味いので無言のまま、早足ぎみに出ていった。






「…ふぅ…」



とりあえず男に成り済まして建物の外に出られたことにホッとする。

案外ばれないもんなのかな。





…いけないいけない。まだ気は抜けてられない。

一番最後に難問があるんだ。
しっかりしないと。






顔がばれないように下を向き、がに股で大門に向かう。




「…もう少しだ。」





もうすぐで此処から出られる。


そう思うと、知らず知らずのうちに早足になった。




脈拍が高まり、ドキドキと緊張が止まらない。






少し歩くともう大門は目の前
なんとかばれずにここまできた。



「…ふぅ…もう、後戻りは出来ない」









深呼吸をしながら私は吉原の入り口、大門を潜り抜けた。