-Side ゆず-
いつものメンバーで。
いつもどおりバスケをする。
それが楽しくて、こうやってこの運動公園へと足を運んでしまう。
同じ高校なのは隼人だけ。
あたしがここに来るときは、必ずと言って隣には隼人の姿があった。
「隼人のスマホ、鳴ってるぞ」
一箇所にまとめられていたみんなの荷物の中で鳴り響く着信音。
それが隼人のだと誰でもわかるのは、その着信音がマニアックだからだ。
隼人の好きなロックバンド。
だけど、マイナーすぎて。
きっと、このメンバーにしかわからないんじゃないかと思う。
それを隼人に言えば、馬鹿にするなと激怒しそうだけど。
「もっしー、ん、どうした?」
声の大きな隼人の話し声が聞こえてくるけれど。
誰も特に気にすることなくゲームが続いていく。
また誰かがあたしみたいに合流するのか。
それとも、他の友だちからの電話なのか。
「気になる?」
隼人の話し声に、急に足を止めたあたしの隣に並んだ泰くんが。
隼人からあたしに視線を移してから、ボソッと呟いた。
「べ、別に…そんなんじゃ…!」
「はは、何どもってんの」
爽やかに笑う泰くんは、背はそんなに高くはないけれど。
ドリブルが抜群に上手くて、外からのシュートも得意で。
体の大きな隼人がゲームから抜けたことで、今このメンバーの中では一番バスケが上手いかもしれない。