俺と同じ高校の制服で。

あのキレイな髪をなびかせながら、男たちの中で楽しそうにバスケをするその姿を見つけて。

大きく瞳を見開いた。


どうして…?


「これな、ゆずに借りたんだよ」


どうして、ここに神崎ゆずがいるんだよ。


「なっ……」


なんで、どうして、と疑問符ばかりが頭の中を飛び交い。

だけど、あまりの衝撃で、言葉が出てこない。


「神崎ゆず、知ってるだろ?」


知ってるも何も。

俺の片思いの相手、だなんて。

…言えっこない。


櫻井と神崎ゆずは、どんな関係なのか。

学校では一度だって、二人が話してるところを見たことがないのだ。


ふと、頭に過ぎるのは。

さっき、タオルに視線を落としたときの櫻井のあの柔らかい表情だった。

緩んだ口許。

嬉しそうな、愛しそうな、そんな顔に見えなくもなかった。

それは、神崎ゆずのタオルだから?


どちらかといえば野性的な櫻井と、美少女と呼ばれる神崎ゆず。

まるで、美女と野獣。

決して、お似合いだとは言えないけれど。


……ここにもいたのか、ライバルが。


まさかの展開に。

勝手に想像して堕ちて。

櫻井にわからないように小さく溜息を吐く。


そんな自分に思わず苦笑いしてしまうのだった。