後ろからだと誰だかわからない。
見た感じだと、細身ではあるけれど背は高そうだ。
なんとなく見覚えの後ろ姿。
「……あの…」
ギュッと拳を握り、恐る恐る彼に声をかけた。
何度こういう経験をしても、慣れることはない。
この告白が本気かゲームか、それを見極めるのも毎回ドキドキしてる。
もし、本当にあたしのことが好きで告白してくれるのだとすれば。
その告白を軽くあしらうことだけはしたくないと思っていた。
だからと言って、まだ初恋だって未経験のあたしには、未知の世界で。
本気かどうかを見極めるスキルなんて持ち合わせてはいないのだけれど。
告白ってたくさんの勇気を必要とすることくらいはわかるつもりだから。
あたしの声に反応して、少しだけビクッと肩を揺らしたあと。
ゆっくりと立ち上がって振り返ったのは、見覚えのある男子生徒。
「秋山くん……」
うちのクラスの委員長、秋山くんだった。
「よかった、来てもらえて」
目を細めて優しく微笑む彼の顔は、いつもより少しだけ緊張しているようにも見えて。
それだけで、あたしまでドキドキしてしまう。
「来てくれてありがとう」
ゆっくりとあたしに近づいてきた彼は、爽やかだけどどこか恥ずかしそうな笑顔ではにかんだ。

