「秋山!」
ストレッチの途中だった秋山から離れて。
座ったままの秋山を見下ろした。
「…上等。受けて立つ」
かっこ悪いのなんて知ってる。
今までだって、何度だってそういう劣等感に苛まれて。
秋山には勝てないんだって、勝手に決め付けて逃げてきた。
勝負することがかっこ悪いって。
そう自分に言っては諦めてきた。
だけど。
まだ、二人が付き合ってないって言うなら。
諦めたくないんだ。
まだ何もしてない、こんな状態のまま諦められない。
秋山に負けるかもしれない。
だけど、誰にも負けたくない。
「おまえになんて負けないよ」
人差し指を突き刺し、ニヤリと片方の口角を上げて不敵な笑みを作り出す。
そんな俺は秋山にどう見えたのか。
ハハッと、小さく声を出し笑い俺を見上げる秋山は。
どこか嬉しそうに見えた。

