モテ子☆モテ男の恋愛事情。



「遅かったな」


俺は出来るだけ普段どおりに接してるつもりだけど。

その声が、どこか刺々しくも聞こえた。


そんな俺を見て、意味深に笑う秋山に。

左の頬がピクッと引きつったのが自分でもわかったけど。

あえてそれを隠すこともなく秋山と対峙する。


他の部員たちはシュート練習に始めたその横で。

簡単に準備体操をした秋山は俺に背を向けて座った。


俺の前に座る秋山の背中を凝視して。

あの後神崎ゆずとはどうなったのだろう、とそればかりが気になってしまう。

二人の笑顔を思い出すのが嫌で。

脚を伸ばし前屈をする秋山の背中を力任せにグーッと押した。


若干、いつもより力が入ってることに。

秋山が気づかないわけない。


「悪いな、翔」


それなのに、力加減も出来ない俺に、秋山はストレッチをしながら少し申し訳なさそうに謝ってくる。

そんな秋山を見て、自分の小ささに溜息がこぼれそうになった。


こういうところが、俺と秋山の違いなんだって思い知らされる。