モテ子☆モテ男の恋愛事情。



-Side 翔-


中庭から逃げるようにその場をあとにして。

図書室の窓に見えた光景を消し去るように、グシャグシャと頭をかきむしった。


イライラした、むしゃくしゃした。

それが秋山に対してなのか、それとも自分自身に対してなのか。

この感情を、どうしたらいいのかわからなかった。


部室に入るとまだみんながいて。

着替え終わった部員のほかに、まだ着替えている部員もチラホラ見えた。


「ちっす…」


俺が入ってきたことで、少しだけ場の空気が変わり。

部員たちの視線が俺へと集中する。


そんな視線も俺は気にすることなく、壁際にずらーっと並んだロッカーから自分専用のロッカーを開けるなり。

持っていた荷物を乱暴に投げつけた。

だけど、その荷物はロッカーの中に入ることなく。

ガシャン、と大きな音を立てただけで床に落っこちた。


そのせいで、みんなの視線はさらに俺に向けられて。

はぁ…と、小さな溜息が零れていった。