-Side 翔-
中庭から逃げるようにその場をあとにして。
図書室の窓に見えた光景を消し去るように、グシャグシャと頭をかきむしった。
イライラした、むしゃくしゃした。
それが秋山に対してなのか、それとも自分自身に対してなのか。
この感情を、どうしたらいいのかわからなかった。
部室に入るとまだみんながいて。
着替え終わった部員のほかに、まだ着替えている部員もチラホラ見えた。
「ちっす…」
俺が入ってきたことで、少しだけ場の空気が変わり。
部員たちの視線が俺へと集中する。
そんな視線も俺は気にすることなく、壁際にずらーっと並んだロッカーから自分専用のロッカーを開けるなり。
持っていた荷物を乱暴に投げつけた。
だけど、その荷物はロッカーの中に入ることなく。
ガシャン、と大きな音を立てただけで床に落っこちた。
そのせいで、みんなの視線はさらに俺に向けられて。
はぁ…と、小さな溜息が零れていった。

