「は? 今、学校帰り!?」
制服姿のあたしを見るなり、急に不機嫌になる大男。
細い目をさらに吊り上げて、険しい顔して近寄ってくる。
「電話くれれば迎えに行ったのに! ってか、電話しろ!」
「大丈夫だって、まだ明るいし」
この時期の17時前なんて、まだまだ明るいのに。
一人でここまで来たことをあまり良く思っていない様子。
「…過保護すぎ」
「はぁ!?」
不機嫌通り越して、般若のような顔であたしを見下ろしてくるその威圧感に。
思わず一歩後ずさってしまうくらい。
「おまえなあ…、何かあってからじゃ遅いんだぞ!?」
いや、何もないから。
なんて、言ったら余計にその眉が釣り上がりそうで。
出かけたその言葉を、どうにか飲み込んで堪える。
だけど、それは表情にも現れていたようで……
「ゆず!」
過保護な彼のその大きな声に、耳を塞ぎたくなった。

