「ゴメンね、こんな時間になっちゃった」
時間は16時半を過ぎていた。
部活はとっくに始まってしまっている時間だ。
「うん、平気。遅れるってちゃんと言ってあるから気にしないで」
秋山くんが貸してくれた参考書と、図書室にあった参考書をカバンの中に入れて。
玄関まで一緒に行こうと、図書室を後にした。
「今度、バスケの練習試合があるんだ。よかったら観にきてくれないかな?」
玄関について。
じゃあ、と手を上げて体育館へと向おうと歩き出した秋山くんは。
そうだ! と突然思い出したかのように振り返って笑顔を向けた。
「練習試合…?」
「うん、そう。一応スタメンだからさ。嫌じゃなかったら応援に来て欲しいな…なんて」
どうかな? なんて大きな身体に似合わず可愛らしく小首を傾げる秋山くんを見て。
フフ、と笑みが零れてしまう。
「うん、考えとくね」
人混みは嫌い。
何かと注目されるのも嫌い。
だけど、バスケの試合を観たいって気持ちもある。
お昼休みの遊びのバスケじゃなくて。
本気でバスケをやってる姿を見てみたいって、気持ちもある。

