生まれたときから真っ白でしっとりとした肌。

色素の薄いサラサラの髪の毛。

黒目がちでパッチリ二重の大きな瞳に長いまつげ。

小さくて形のよい唇。

程よい厚みの唇で口紅要らずの赤みはどこか色っぽい。

手足が長くて華奢な体に似合わない豊満なバスト。

男を魅了するには充分すぎるほどの魅力を持つ、校内一の美少女。


……これって、誰のこと?


はじめて聞いたときは、頭の上にハテナマークばかりが飛び交っていた。


誰がそんなことを言い出したのか。

ウワサがウワサを呼んで、いつの間にか出来上がった“神崎ゆず”の理想像。

そのせいで、あたしのことをよくも知らない人たちからの告白があとを立たないわけで。

見た目だけ。

妄想で勝手に出来上がった“神崎ゆず”


そんなの理想像で告白されたって、はっきり言って迷惑だった。


新聞部の愛美の情報網は半端なくて。

特に恋愛に関してはいつもアンテナを立てているわけで。


誰が告白しただの、誰と誰が付き合いだしただの、別れただの、そんな情報は愛美の大好物。

だから、告白される機会の多いあたしには、愛美は興味津々なのだけれど……

それもまた迷惑な話だ。