モテ子☆モテ男の恋愛事情。



「ゴメンね、遅くなって」


突然後ろから声をかけられて、ビクッと肩が跳ねる。


「あ、秋山くん……」


全然気がつかなかった。


「来る途中に担任に雑用を押し付けられちゃってさ…」


少し困ったように眉を下げる秋山くんに、小さく首を振る。


「委員長も大変だね」

「まるで担任の小間遣いだよね、ホント」

「フフ、それはそれは…間違ってないかもね?」

「あ、やっぱり? ゆずちゃんもそう思うよね」


まったく…なんて溜息を吐きながら、あたしの前の席に座る秋山くんを見つめる。


口ではあんなふうに言ってるけど。

本当は、自分から率先してその雑用を手伝ってるって知ってるよ。


頭も良くて。

バスケも上手くて。

優しくて。

面倒見も良くて。

気遣いもできる。


そんな素敵な人が、あたしなんかのことを好きだと言ってくれる。

あたしは、その気持ちに応えることができるのかわからない。