-Sideゆず-


「ゆず、また明日ね~!」

「ゆずちゃん、バイバーイ!」


さっきまで騒がしかった教室の中も。

今ではチラホラと数人の生徒が残っているだけになった。


「じゃあ、あたしも帰るけど」

「うん、また明日ね」


可奈もこれからバイトだからと、笑顔で手を振りながら教室を出て行った。


幸いなことに、今日の新聞部はサッカー部の練習試合前の取材らしく。

愛美は帰りのHRが終わった瞬間に教室を飛び出して行ったのだ。


時刻は、もうすぐ16時。

部活動開始時間ももうすぐだ。


昨日、秋山くんに告白されて“友だち”になった。

本当によかったのかと、今でも少し不安だけど。

秋山くんは、今までと同じように接してくれた。

そのことにホッとしている自分がいた。


急に馴れ馴れしくされても戸惑うだけで、それこそ昨日の自分の答えに後悔してしまうかもしれない。

だから、秋山くんのその距離感に少しだけ不安は緩和された気がする。