キャーキャーとうるさいくらいのギャラリーが、いつも以上にうるさいのは確実にこの二人のせいでもあるだろう。
そんなうるささも、バスケを始めてしまえば気にならなくなるのは俺も秋山たちも一緒で。
今日もまた、ここでバスケが出来ることが楽しくて仕方なかった。
途中、水分補給のために持ってきたミネラルウォーターを喉に流し込む。
秋山が投げてくれたタオルを受け取ると。
それを頭から被って、その場にドカッと座り込んだ。
「あっちーっ…」
空を見上げれば、雲一つない青空が広がっていた。
その空はすっかり夏空だった。
額から流れる汗が顎を伝って落ちていく。
暑いけど、嫌いじゃない。
大量の汗を流してるわりに、気分は清々しくもあった。
ふと校舎に視線を向けると。
ところどころの窓から、ベランダから、こっちを眺めてる生徒が目に入った。
なんとなく気になって、タオルを被ったまま視線だけを右から左へと移動させていく。
その中に、見つけた。
神崎ゆずの姿。
ドクン、と跳ね上がった心拍。
隣にいる友だちと楽しそうに話しながら、こっちを見ていた彼女と目が合ったような気がした。

