モテ子☆モテ男の恋愛事情。



チャイムと同時に担任が教室に入ってきて。

他の生徒たちもそれぞれ自分の席へと戻っていく。


出欠確認が始まり、さっきまでうるさかった教室内は担任の声だけが響き渡っていた。


担任の目を盗んで、さっき渡された水色の封筒を手にした。

そこには綺麗な字で俺の名前と、差出人の名前が書かれていた。


隣のクラスの、確かバレー部だったはず。

そこそこ美人な彼女のことを、誰かが騒いでいたような気がする。

だけど、俺にはその彼女の顔は思い出せなかった。

それだけ、他には興味がないのだ。

これが、神崎ゆずだったらいいのに…なんて思ってしまうくらい。


そんなこと、ありあえるわけないけど。

馬鹿みたいに、もう一度差出人の名前を確認してる自分が笑える。


封を開ければ、封筒と同じ色の便箋に『放課後、裏庭まで来てください』とだけ書かれていた。

それを簡単に読んだあと、カバンの中に押し込んだ。


「……だりぃ」


思わず出た言葉に、隣の席のヤツが微かに反応したような気がしたけど。

そんなことは気にせずに、机に頬杖をついて小さく溜息を吐いた。