チャイムと同時に担任が教室に入ってきて。
他の生徒たちもそれぞれ自分の席へと戻っていく。
出欠確認が始まり、さっきまでうるさかった教室内は担任の声だけが響き渡っていた。
担任の目を盗んで、さっき渡された水色の封筒を手にした。
そこには綺麗な字で俺の名前と、差出人の名前が書かれていた。
隣のクラスの、確かバレー部だったはず。
そこそこ美人な彼女のことを、誰かが騒いでいたような気がする。
だけど、俺にはその彼女の顔は思い出せなかった。
それだけ、他には興味がないのだ。
これが、神崎ゆずだったらいいのに…なんて思ってしまうくらい。
そんなこと、ありあえるわけないけど。
馬鹿みたいに、もう一度差出人の名前を確認してる自分が笑える。
封を開ければ、封筒と同じ色の便箋に『放課後、裏庭まで来てください』とだけ書かれていた。
それを簡単に読んだあと、カバンの中に押し込んだ。
「……だりぃ」
思わず出た言葉に、隣の席のヤツが微かに反応したような気がしたけど。
そんなことは気にせずに、机に頬杖をついて小さく溜息を吐いた。

