「で、また振ったわけ?」
またまた興味津々とばかりに瞳をキラキラさせる愛美に、あたしはわざとらしく大きな溜息を吐いてから。
答える気のないあたしは視線を愛美からフェンスの下の校庭へと移した。
校庭ではサッカーをする生徒や一つだけあるバスケットリンクでバスケをする生徒の姿が見えた。
昼休みのいつもの光景。
またやってる。
3on3。
周りをグルリと囲むギャラリーのほとんどは女の子で。
一際目を引くのは、バスケをしている彼。
校内一モテる男、速水翔。
彼を一目見るために集まった女の子たちが、彼がボールを持つたびにキャー!キャー!と黄色い声援を送っていて。
それが耳さわりなほどよく響く。
それが、なんだか。
とても不愉快だった。
「校内一の美少女も、校内一モテる男が気になるのかしら?」
あたしと同じように校庭を見下ろしていた可奈が、あたしの耳元でニヤリと笑い、意味ありげに囁く。
「……別に」
興味ないわ、と視線をお弁当箱に戻すと。
残りのお弁当を黙々と口に運んで、手早く片付け始めた。
お弁当箱をしまい、代わりにスマホを取り出して時間を確認してから。
その場に立ち上がって、スカートについた埃を軽く叩いて落とす。