「…ムカつく」
「ん、何が?」
「…何でもねえよ」
姿勢もよくて、いつも爽やかな笑顔で。
ただ歩くだけでもサマになる。
男の俺から見ても。
秋山はカッコいいと思う。
そんな秋山とは、中学からの親友でバスケ仲間。
容姿端麗な上、勉強も運動も出来る、まさにパーフェクト人間。
もちろん、こいつもモテるわけで。
ほら。
校門近くの、あの二人組の女の子は秋山目当てで。
チラチラとこっちを見ては、微かに頬を染めている。
そんな視線に気がつかないのか。
それとも気がつかないフリをしているのか。
秋山は気にすることなく真っ直ぐ前を向いて歩いていく。
俺も、その後を追いかけていった。
校舎が近づいたとき、ふと視界の片隅に入り込んできた…サラサラと風になびく髪。
グッと、視界を斜め上に上げれば、そこは図書室がある場所で。
窓から校庭を眺めている女子生徒が目に飛び込んできた。
校内一の美少女、神崎ゆず。
俺と同じような称号を持つ女だ。

