愛美はあたしとは正反対で。

小さくて。

フワフワしてて。

いつも甘い香りがする。


わたあめみたいな彼女。


肩までの髪はマロンブラウンでクリンとパーマがかかっていて。

垂れ目でお人形みたいな大きな瞳。

口角の上がった小さな唇。

チークのいらないほんのりピンクの頬。


愛美は童顔だから嫌だというけれど。

コロコロ変わる表情と、その人懐っこい笑顔、少し危なっかしくて守ってあげたい。

そんな愛美が可愛くて羨ましい。


「愛美には、ちゃんと愛美を愛してくれる素敵な彼氏がいるじゃない?」


愛美だけを見て。
愛美だけを思って。

愛美だけを好きだと言ってくれる。

そんなやさしい彼氏がいるじゃない。


「あたしは、見た目だけだから」

「ゆず……」

「いくら好きだって言われてもさ。所詮はこの見た目。だって、お互い何も知らないんだよ? 相手の名前も顔もわからない、そんな相手にただ言葉で『好きです』って言われても困るだけ」


見た目だけ。

自分で言った言葉で傷ついて。

そして自嘲の笑みを浮かべる。


「ステータス。それだけなんだよ、あたしなんて」