「うう、ん、コホン」


わざとらしい咳払いに、フッと視線を目の前に戻す。

はぁ…と、わかりやすく溜息を吐く愛美に怪訝な瞳を向けると。

また、わざとはぁ…と溜息を吐く。


「何?」

「羨ましいな…と思って」


思っていたこととは違う言葉に面食らうあたしとは裏腹に。

愛美のその瞳はウットリ…と言う言葉がピッタリだった。


机の上に両肘をつき。

手のひらに顔を乗せたまま遠い目をする。


「愛美?」

「いやぁ…絵になるな、と思って」

「はい?」

「あたしも美人に産まれたかった…」


羨ましい。

そんな瞳であたしを見つめてくる愛美に、あたしはなんだか切なくなってしまう。


小動物みたいに、小さくてフワフワ柔らかそうで、可愛らしい愛美を見つめ返す。

守ってあげたい。

彼女を見ると、そう思ってしまう人も少なくないと思う。


「あたしは、愛美のほうが羨ましいよ?」


今度はあたしの言葉に、愛美は驚く番で。

大きく見開かれたクリクリの瞳は、少しの戸惑いと少しの嬉しさが滲み出ていた。


その表情がまた可愛い愛美を見て。

フワリと笑みを零した。