モテ子☆モテ男の恋愛事情。



「明日! ちゃんと話しなさいね!!」


愛美はそう捨て台詞を残して、足早に教室を飛び出して行った。

彼女が見えなくなった途端、ふうーっと息を吐く。


「ゆずも大変ね……」


今の愛美とのやり取りを近くで見ていた可奈が、ボソッと呟いたその言葉も聞こえないフリ。


ポン、とあたしの肩に手を置かれて。

首だけ可奈のほうへと向けると、少し眉を下げ苦笑している可奈と目が合った。


「……さてと、帰りますか」


特に何を語ることもなく、席を立って荷物を肩にかけると。

教室の後ろのドアに向って足を進める。

その後を追いかけるように着いてくる可奈の口から『もう…』と零れた小さな声を
また聞こえないフリをした。


その気まずさから、少し俯いたままドアを開け廊下に出ようとしたところで。

―――ドンッ。


「きゃっ!?」


急に目の前が真っ黒になったかと思えば。

あたしの身体は、そのまま弾き飛ばされるかのように後ろへひっくり返る。


た、倒れる…!?