「明日! ちゃんと話しなさいね!!」
愛美はそう捨て台詞を残して、足早に教室を飛び出して行った。
彼女が見えなくなった途端、ふうーっと息を吐く。
「ゆずも大変ね……」
今の愛美とのやり取りを近くで見ていた可奈が、ボソッと呟いたその言葉も聞こえないフリ。
ポン、とあたしの肩に手を置かれて。
首だけ可奈のほうへと向けると、少し眉を下げ苦笑している可奈と目が合った。
「……さてと、帰りますか」
特に何を語ることもなく、席を立って荷物を肩にかけると。
教室の後ろのドアに向って足を進める。
その後を追いかけるように着いてくる可奈の口から『もう…』と零れた小さな声を
また聞こえないフリをした。
その気まずさから、少し俯いたままドアを開け廊下に出ようとしたところで。
―――ドンッ。
「きゃっ!?」
急に目の前が真っ黒になったかと思えば。
あたしの身体は、そのまま弾き飛ばされるかのように後ろへひっくり返る。
た、倒れる…!?

