「ゆず、また告られたって!?」
お昼休み。
いつものように屋上で、仲良し3人でお弁当を広げてランチタイム。
5月のこの季節が屋上でご飯を食べるのに一番いい季節かもしれない。
「…情報、はやっ」
おにぎりを頬張ったまま目を見開くのは、あたし神崎ゆず。
「ゆず、食べながら喋らないの」
汚いなあ…と呆れたように小さな溜息を吐くのは、あたしの幼稚園の頃からの親友、松井可奈。
「で、で、誰なの~!?」
すごい勢いであたしに迫ってくるのは、高校に入ってから仲良くなった森田愛美。
「2年になってから何人目?」
愛美はあたしに掴みかかる勢いで身を乗り出してくる。
大きな瞳をこれでもかと大きく見開いて、鼻の穴まで大きくしちゃって。
迫力満点な愛美から逃げるように後ずさるあたしを、可奈は隣で傍観してるだけ。
「お、覚えて、ないよ」
……怖いです、愛美さん。
可奈に視線で助けてと訴えながら、さらに近づいてくる愛美を両手でガードするけれど。
それもあまり意味がないみたい。