モテ子☆モテ男の恋愛事情。



「昼休み、どこへ行ってたの?」


その日の放課後。


思ったとおり、愛美がニヤニヤとした顔であたしの席まで近づいてくる。

そして、意味深な笑みを浮かべながら言葉を放つ。


あたしの席の前に立ち。

『さあ、白状なさい!』とばかりに仁王立ち。


そんな彼女を無視したまま、帰りの支度をするあたしの顔をグッと覗き込んでくるなり。


「で? 誰と会ってたの?」


質問が若干変わってることも、気にしない。


「…あぁ、うん、秘密?」


うふっ、なんて可愛く笑ってみせても。

まあ、愛美には通用しないことくらいわかっているのだけれど。

そんな冷ややかな目で見られたって、素直に答えるわけがない。


「委員長と一緒だったってホント?」


それに、彼女の情報網をもってすれば。

そんな情報の一つや二つ……

って。

…もう、知ってるんじゃん。


「さあ? なんの話?」


誤魔化せるとは思ってないけど。

ゴメンね、愛美。

だからってバカ正直にあたしの口からは言わないよ?


動揺1つ見せずに、愛美の言葉を受け流していくだけ。


「愛美、部活はいいの?」


そんなあたしに助け舟を出してくれるのはいつも可奈で。

可奈の言葉で時計を見るなり『やばっ!』と慌てて荷物をまとめだす愛美の姿に。

今日は見逃してもらえたとホッとする。