モテ子☆モテ男の恋愛事情。



「かっこ悪くなんて、ないよ?」


あたしも同じように座り込んで、目線が同じ高さになると。

思った以上に近くなった二人の距離。


まいったな…と、頬を少し紅く染める彼に。

つられて頬がピンクに染まってしまう。


急に恥ずかしくなって。

だけど、逃げるように彼から離れることにも躊躇してしまう。


これって、思わせぶりな態度だったんじゃない? とか。

告白を断ったのに、こんなふうに近づくべきじゃないんじゃない? とか。


今さらそんなことを思ったところで。

やっぱり無理です、なんて言えるわけがないじゃない。


「ゆずちゃん…って呼んでいい?」

「…うん」


頭の中でゴチャゴチャと考えてるあたしとは違って。

どこか清々しくも感じる秋山くんの笑顔。


「これから、よろしくね」


あたしの目の前に差し出された、大きな手。

さっき告白されたとは思えないほど、下心の見えないその笑顔を数秒見つめてから。


「こ、こちらこそ、よろしくお願いします」


少し躊躇しながらも、その手に軽く触れると。

思った以上に大きくて、なんだか少しドキドキした。