「かっこ悪くなんて、ないよ?」
あたしも同じように座り込んで、目線が同じ高さになると。
思った以上に近くなった二人の距離。
まいったな…と、頬を少し紅く染める彼に。
つられて頬がピンクに染まってしまう。
急に恥ずかしくなって。
だけど、逃げるように彼から離れることにも躊躇してしまう。
これって、思わせぶりな態度だったんじゃない? とか。
告白を断ったのに、こんなふうに近づくべきじゃないんじゃない? とか。
今さらそんなことを思ったところで。
やっぱり無理です、なんて言えるわけがないじゃない。
「ゆずちゃん…って呼んでいい?」
「…うん」
頭の中でゴチャゴチャと考えてるあたしとは違って。
どこか清々しくも感じる秋山くんの笑顔。
「これから、よろしくね」
あたしの目の前に差し出された、大きな手。
さっき告白されたとは思えないほど、下心の見えないその笑顔を数秒見つめてから。
「こ、こちらこそ、よろしくお願いします」
少し躊躇しながらも、その手に軽く触れると。
思った以上に大きくて、なんだか少しドキドキした。

