それでも、もう少し彼のことを知ってみたいと思ったのも事実で。
だから、あたしは……
「友だち…なら。よろしくお願いします」
そう言って、彼に向って深く頭を下げた。
その瞬間、緊張の糸がプツリと切れたかのように『良かった…』少し気の抜けた声が耳を掠め。
顔を上げれば、その場にヘナヘナと座り込む秋山くんの姿が映りこむ。
「あ、秋山くん?」
「…ハハ、緊張、した」
ホッとしたのか、今まで見たことのないような無邪気な笑顔であたしを見上げてて。
あたしと目が合えば、少し恥ずかしそうに瞳を逸らされてしまった。
それが少し幼く見えて、今までのイメージがまた変わる。
「秋山くんって、もっと余裕があって大人っぽい人だと思ってた」
「ははっ、それ俺も思ってた」
「えっ?」
「もっとかっこよく決めるはずだったんだけどな…」
座り込んだまま、かっこ悪いな、と苦笑する秋山くんは。
またさっきと違う顔をしてて。
もしかしたら、これが一番素に近いのかもしれない。

